ホーム > 新着情報&トピックス > RoboCup Japan Open 2009 大阪 参戦記 車輪型ロボット
RoboCup Japan Open 2009 大阪 参戦記 車輪型ロボット
大阪電気通信大学 総合情報学部
メディアコンピュータシステム学科
升谷研究室
金谷 境一
木村 尭海
植田 康生
江口 達也
中島 誠
中谷 有輝
富永 浩輝
太瀬 和紀
森 聡紘
山本 祐揮
目次
RoboCup小型ロボットリーグとは
RoboCup小型ロボットリーグとは、オレンジ色のゴルフボールを用いて、 直径18cm、高さ15cm以内の大きさのロボットを1チーム5台用いて戦います。 機体が小さく、ロボット自体には目となるカメラを取り付けることは難しいので、 フィールドの上空にカメラを取り付けることが許されています。 そのカメラで撮影した映像を自分のチームのPCに送り、 それを画像処理してロボットやボールの位置を求め、その配置によって戦略を立て 、各ロボットに無線で命令を送りロボットを動かします。試合が始まったら、 人はコンピュータやロボットを操作することはできません。
ODENS車輪型班とは
升谷研究室にはRoboCup小型ロボットリーグに毎年参加しているグループがあります。 それがODENS車輪型班です。昨年開催されたRoboCup Japn Open 2008沼津では、準優勝という結果を残しています。 今年はチームのさらなる強化を狙って新たに4輪ロボットを導入しました。 4輪ロボットは去年まで使っていた3輪ロボットよりも、機動力やキック力が大幅に向上しています。 さらに、チップキックというボールを浮かして飛ばす機能が追加され、戦略の幅が広がりました。 この新型4輪ロボットで優勝を掴み取るため、日々ロボットの整備やプログラムの改良を行っています。
3輪ロボット | 4輪ロボット |
---|---|
大会までの取り組み
私たちが小型ロボットリーグに参戦するのは今年で3回目です。 今年のプレゼミ生(現3年生)は配属されてロボットに関する基礎知識を学んだ後、 ソフトウェア担当とハードウェア担当に分かれ活動を始めました。
ソフトウェア班は、既存のロボットのプログラムの理解を 進めつつ、新たに導入された新型4輪ロボット用にプログラムを改良していきました。ハードウェア班は主に4輪ロボットを最適の状態にするべく活動し、 ロボット整備の技能はどんどん上達していきました。
昨年から参加の4年生、一昨年から参加し続けている大学院生 も高度な動きをプログラムに組み込んだり、ロボットの改良などを しました。さらに豊富な経験により3年生を様々な面でサポートし、 良き手本となりました。
新型4輪を導入したODENSの戦いが京セラドームで始まりました。
RoboCup Japan Open 2009 大阪
今年のRoboCup Japan Open 2009 Osaka 小型ロボットリーグに は、豊田工業高等専門学校「KIKS」、愛知県立大学 「RoboDragons」、電気通信大学「fWing207」、中部大学 「Owaribito-CU」、そして大阪電気通信大学「ODENS」の 計5チームが出場しました。この5チームが予選リーグ(総当たり戦) を2日間に渡り行い、上位4チームが決勝トーナメントに進出します。
試合の一般公開は5月8日から5月10日までの3日間ですが、チームはその前日に大学からロボットやカメラ、PCなどを運び込み、天井カメラの設置、ロボット やPCの調節を行います。会場に入るとセッティングを始め、各自カメラ映像や プログラムの調整、ロボットの整備などをしていました。
いよいよ大会当日です。絶対に優勝 してやると言う意気込みで京セラドームまでやって来ました。
そして3日間の激闘が始まったのです。
予選リーグ
5月8日
KIKS (豊田工業高等専門学校)戦
ODENSの初戦の相手は豊田工業高等専門学校のKIKSです。 このチームは非常に強力なキック力を持ったチームで中でも チップキックはかなりの飛距離で、とても驚かさ れました。試合が始まると強力なシュートを何度も打って きました。
ODENSも強固な守りでKIKSのシュートを防ぎつつ チャンスを窺っていましたが、お互いに相手のゴールを奪う ことはできずにいました。途中KIKSのロボットから火花 が散り騒然としましたが、大きな事故には至りませんでした。 その後も激しい攻防が繰り広げられましたが結果は0-0の引き分けでした。
fWing207 (電気通信大学)戦
fWing207戦は、相手チームが何か問題を抱えていたらしく、動き の悪いロボットが何機かありました。しかし、途中相手の シュートがゴールを狙ってきて危険な場面もありましたが、キーパーがそれを防ぎ何とか危機を回避しました。
その後、ODENSに1点が入り、前半は終了しました。1点リードの状態で 後半に入り、途中タイムアウトを取ってロボットの調整など をしつつ、その後も得点を重ね結果は4-0でODENSの勝利でした。
5月9日
RoboDoragons (愛知県立大学)戦
3回戦はRoboDragonsとの勝負でした。 ODENSとRoboDragonsはロボット本体を作っている業者が同じで見た目はほぼ一緒です。 RoboDragonsの機体はキック力が強くシュートやチップキックが正確で力の差を見せ付けられました。 例えば、キーパーが守ろうとしましたがRoboDragonsの強力なキック力によるシュートに追いつけず点を入れられたり、 始まってすぐに中央からのダイレクトシュートを決められたりとすばらしいシュート満載でした。 試合結果は0-10でコールド負けでした。さすが昨年の王者、正に龍のごとき強さでした。
Owaribito-CU (中部大学)戦
4回戦での相手はOwaribito-CUでした。 この試合では3点入れ、そのうちの1点はPKによって入れました。 1点目のシュートは我らのチームの主力である4輪が相手のロボットとロボットとの間に出来たわずかな 隙間をかいくぐるかのようにシュートをしゴールを決めてくれました。 2点目の時はOwaribito-CUの調子が悪かったのかキーパーの電源を落としてのPKだったので楽々と点を入れさせてもらいました。 3点目も1点目と同じように4輪が決めてくれました。 試合結果は3-0で勝利です。
予選リーグ結果
決勝トーナメント
5月10日
KIKS (豊田工業高等専門学校)戦
準決勝第一試合の相手は予選の時0-0で勝負の付かなかったKIKSです。 しかし予選の時よりもキックの精度が格段に上がっていました。 特にすごかったのはチップキックの精度です。試合が始まって速攻でチップキックを使われ点を入れられるという場面もありました。 さすがチーム名に『キック』という名を付けるだけのことはあります。
で残念ながら力及ばず1-2で負けてしまいました。
Owaribito-CU (中部大学)戦
3位決定戦の相手は予選で3-0で勝利したOwaribito-CUです。 試合序盤から相手のゴール付近に攻め込み、出だしのいい始まり方でした。 その後もパス回しで相手を翻弄し積極的に相手ゴールを狙いに行きました。 相手も必死にボールを奪いに来て一進一退の攻防を繰り広げました。 試合中相手のチップキックでボールがあちこちに飛び回りどちらが先にゴールするか予想できない緊張感のある展開が続きました。
前半は0-0のまま終了しました。 後半に入っても、相手の守備を破ることができません。 しかし一瞬の隙をついて、ついにOwaribito-CUから貴重な1点を得ました。 途中ODENSが絶好のチャンス時に誤審がありチャンスを奪われましたが、1-0で見事3位の座を勝ち取りました。
決勝トーナメント結果
ダイジェストビデオ
まとめ
3年生は、今回の大会が初めて自分達のチーム以外の機体を見る機会でしたので、とても良い経験になったと思います。 今年の大会は1日目からロボットの調子が悪く停まってしまったりするチームが所々見られました。
しかし2日目、3日目になるに連れてどのチームも悪い所を修正、改善され良い動きになりました。 今年のRoboCupの戦績は、予選では4戦で2勝1敗1引き分け、決勝リーグでは準決勝でKIKSに負けてしまいましたが、その後の3位決定戦でOwaribito-CUとの戦いでなんとか3位になることが出来ました。
今回の大会において、ODENSのロボットには味方同士でボールを取り合ってしまう行動があったり、ボールが目の前にあるのに蹴らずにいるという現象が多々ありました。 また、途中で主力である4輪ロボットの調子がおかしくなり、4輪が1台3輪が4台というかなり厳しい試合もありました。 そのような状況でメンバーは、試合前の日から最終日の日まで全員夜遅くまで居残り作業して頑張っていました。
最後に今回の大会を振り返ってみて改善しなければならないことがいくつも見えてきました。 来年度の大会までにプログラムを改良していき、次こそ優勝することが出来るように取り組んでいきたいと思います。
小型ロボットリーグの結果
- 優勝:RoboDragons (愛知県立大学)
- 準優勝:KIKS (豊田工業高等専門学校)
- 第3位:ODENS (大阪電気通信大学)