大阪電気通信大学 総合情報学部
メディアコンピュータシステム学科
升谷研究室
小松 大祐
岡田 隆広
内藤 慎
奥田 真平
森本 達也
目次
- 小型ロボットリーグにおけるヒト型ロボット
- SSL Humanoidのシステムについて
- ODENS++について
- 2009年5月8日(大会1日目)
- 2009年5月9日(大会2日目)
- 2009年5月10日(大会3日目)
- ダイジェストビデオ
小型ロボットリーグにおけるヒト型ロボット
現在、ロボカップの小型ロボットリーグ(Small Size robot League、以下SSL)では、 3輪または4輪のオムニホイールを利用した車輪型ロボットを使用しています。 年々参加チームのレベルが上がり技術的に飽和状態になりつつあります。 そこで、現SSLと同じように外部カメラを用いる方法を継承しつつ、 ロボット本体を『車輪型』から『ヒト型』に置き換えるアイディアが2007年に日本の有志チームから提案されました。 これを、「SSL Humanoid」と呼んでいます
今年のRoboCup Japan Open 2009 大阪では、 SSLのサブリーグとして、SSL Humanoidの公式試合が初めて行われました。
SSL Humanoidのシステムについて
ロボットは手動操作ではなく自律動作によって動きます。 ロボットの頭にマーカが取り付けてあり、 マーカとボールを天井に取り付けられているカメラにより撮影し、 撮影した映像をPCに送り、、 その映像のデータをロボットに送ることにより、 ロボットとボールの位置を知ることが出来ます。 ロボットにはあらかじめモーションが登録されており、 送ってきた命令に対応するモーションを再生します。 以上を繰り返すことにより、自律的にサッカーをします。 試合が始まるとチームはPCとロボットには一切触れてはいけません。 ファールなどロボットを止めたい場合はレフェリーボックスから信号がPCに送られ、 それをPCからロボットに命令します。
ODENS++について
大阪電気通信大学のチームは「ODENS」ですが、 今回のヒト型チームは大阪府立工業高等専門学校(以下、府立高専)の薮研究室との合同チームということで「ODENS++」という名称になりました。 大阪電気通信大学升谷研究室ではソフトウェア面が得意です。 一方、府立高専薮研究室はハードウェア面が得意です。 お互いを補い合うために合同チームを立ち上げました。
ODENSのロボットは京商から発売されている 1/5 SCALE ATHLETE HUMANOID「MANOI ATO1」を使います。 無線通信には、近藤科学から発売されている 「KHR-3」というクリスタル交換方式の通信機をそのまま使っています。
一方、府立工専のロボットはヴィストン株式会社から発売されている「Robovie-X」を使用しています。 大阪電気通信大学の使っているものとは違う、「Zigbee」という無線通信規格も取り入れています。
2009年5月8日(大会1日目)
対 Owaribito-CU(中部大学)戦
SSL Humanoidにとって、最初の公式試合です。 Owaribito-CUのロボットは近藤科学から発売されているKHR-1HVを使っていました。 相手チームのロボットは不調のためかあまり動けていません。 一方ODENSチームは普段通りに動くことができ一回戦は4-0にて勝利しました。
対 KIKS(豊田工業高等専門学校)戦
KIKSのロボットはODENS++のロボットと同じMANOIを使っていましたが、 重心を低くし足裏を広く改造したことにより、ODENS++のロボットより素早く安定した動きをしていました。 キック力はそれほどないものの素早いサイドステップとそれに合ったプログラミングにより、 ODENS++のオフェンス・ディフェンスともになかなか追いつけず、次々とゴールへシュートされてしまいます。
ODENS++のキーパーのファインプレイによりゴールをなんとか死守するものの、 ロボットがゴール前に集まってしまいマルチプルディフェンス (自軍のディフェンスエリア内で2台以上のロボットが入ってしまうこと) が起こり、PKでゴールを決められてしまいました。
結果は1-3で敗北してまいました。
試合後、奥田・小松がキーパープログラムを直すべく会場に残り修正をしました。
2009年5月9日(大会2日目)
対 RoboDragons(愛知県立大学)戦
RoboDragonsのロボットはKHR・MANOI・MANOIにKHRの足をつけた機体を使用していました。 今回の試合は準備が間に合わなかったためRoboDragonsが棄権しました。したがって、10-0にてODENS++の勝利です。
代わりに、デモとして人が操縦するRoboDragonsのロボット対自立型のODENS++のロボットで対戦が行われることになりました。 人間はフィールド全体の3次元的な状況を把握し操縦できるのに対して、 現在の自律型のシステムではロボットのマーカーとボールの位置と方向しか使えませんので、 慣れた人が操縦すると操縦型の方がかなり有利と言えます
ODENS++は、後半RoboDragonsのマルチプルディフェンスによるPKにて貴重な1点を入れることができ、 結果は1-0での勝利しました。
SSL Humanoidの結果
- 優勝: KIKS (豊田工業高等専門学校)
- 準優勝:ODENS (大阪電気通信大学)
2009年5月10日(大会3日目)
対 KIKS(豊田工業高等専門学校)戦
3日目はエキジビジョンマッチが行われました。
KIKSには初日で負けており、その屈辱を晴らすべくODENS++は新しいプログラムを仕上げて試合に臨みました。
順調な出だし見えましたが、ODENS++のゴールキーパーの動きがしっかりせず、先制ゴールを決められてしまいました。 その後も初日のファインプレーとは裏腹にゴールを簡単に許してしまい、 結果は0-2でまたも敗北してしまいました。
この試合では、キーパーの動きがおかしく後ろ歩行ができなかったり、 キーパーのモーションが遅れて動作してしまい、ボールを止めることができませんでした。 後で調べてみると、キーパープログラムが最新のものではなかったことがわかりました。
体験イベント
最後は子供達にリモコンで各チームのロボットを動かしてもらうイベントを行いました。 ロボットを操作する子供達の目は真剣で、待ってる子供達はまだかまだかと目を輝かせながらロボットを見ていました。
ダイジェストビデオ
総括
今回のRoboCup Japan 2009 大阪では、SSL Humanoidは初めての公式試合でした。 このため、他のロボットがどういう動きをするのか、 どういうロボットを使うのかと言うのも未知数でした。 しかし、しっかりとしたサッカーの試合ができたと思います。
対戦を重ねる毎にたくさんのミスや未熟なところも見つかりました。 しかし、未熟な部分があるということは可能性がまだまだ眠っているとも言えます。 今後は今回分かった未熟な部分を少しでも埋めていく努力をしていこうと思います。