10月6~10日に福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールドにおいて開催されたWRS(World Robot Summit)2020 福島大会に本学科 升谷研究室のODENSチームが参加しました。
WRS 2020は、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催するロボットの世界的な競技会と展示会の複合イベントです。東京オリンピックに合わせて2020年に計画され、新型コロナウィルスの感染拡大を受け開催を延期されていました。そして、イベント名称は2020のまま本年の9月に愛知大会が、10月に福島大会が開催されました。
本学科のチームが参加したのは、世界中から集結したチームがロボットの技術やアイディアを競う競技会「World Robot Challenge(WRC)」の中の「インフラ・災害対応カテゴリー」の「トンネル事故災害対応・復旧チャレンジ」です。この競技は、トンネル災害を想定した情報収集、緊急対応をテーマとしており、ロボットシミュレータChoreonoid(コレオノイド)内に再現された災害現場にロボットを投入し、遠隔操縦によりタスクを遂行する能力を競います。
升谷研究室では、ヒト型ロボット・サービスロボット・遠隔操縦ロボットシステムの3グループに分かれて研究に取り組んでいます。本大会には遠隔操縦ロボットシステムの研究の一環として、大学院生2名、学部生1名、教員1名で参加しました。チーム名はODENS(オデンズ)です。
チームメンバは、10月6日に機材を持って伊丹空港から仙台空港へ飛び、自動車で福島県の会場へ移動しました。昼過ぎにコロナウィルスの抗原検査を受けた後に会場入りし、大学から運んだ機材をセッティングし動作確認を行いました。
10月7日と8日には予選が行われました。トンネル事故災害対応・復旧チャレンジの競技は、以下の四つのタスクに分かれており、それぞれの得点の合計で成績が決まります。
- TS1 車両および周辺の調査、救助
- TS2 経路の確保
- TS3 消火作業
- TS4 トンネル壁面、付帯設備の点検
この競技には、日本から8チーム、ペルーから1チームの合計9チームが参加しました。ODENSチームは、予選の成績2位で準決勝に進出する6チームに選ばれました。
10月9日には、6チームによる準決勝が行われました。各タスクの課題は予選と同様ですが、条件が厳しくなっています。このため、ODENSチームは苦戦し、成績5位で、残念ながら決勝に進む3チームに入ることができませんでした。
この競技において、ODENSチームは、升谷研究室が提案する「三人称視点ARマスタスレーブ方式」で双腕の建機型ロボットを操縦しました。この方式では、操縦者は、遠隔地のロボットと同じ形で縮小されたロボット(マスターアーム)を操縦します。そして、操縦者は透過型HMD(Head Mounted Display)を装着し、拡張現実感(AR)技術により遠隔地の3次元情報と目の前のロボットが重畳表示された映像を見ながら、ミニチュアを操作する感覚で作業をすることができます。他のチームとは大きく異なるこの操縦方式は会場で注目を集めました。
なお,操縦用のロボット(マスタアームは)は,競技に参加した学生が3次元CADで設計し,全ての樹脂部品を本学の3D造形先端加工センターの3Dプリンタで造形し,モータの部品と一緒に組み立てたものです.
参加した学生らは、この大会の参加を通じて、研究の意義や課題を見出すことができました。これを糧に、研究の進展や次の大会参加へつなげていきたいと考えています。