6月24日~7月1日にオランダのアイントホーフェンにおいて開催されたRoboCup 2013 Eindhoven(世界大会)に,本学科 升谷研究室のODENSチームが参加しました.このチームは,RoboCup世界大会において,2009~2011年にはSmall Size Robot LeagueとSSL Humanoidに,2012年には3D Simulation Leagueに出場していますが,今回は,Small Size Robot Leagueと3D Simulation Leagueの2リーグに出場しました.結果は,Small Size Robot Leagueでは,準々決勝まで進みベスト8に入りました.一方,3D Simulation Leagueでは,第2ラウンド止まりでした.
宿泊したホテル
会場入り口
Small Size Robot League
Small Size Robot Leagueは,直径18cm以内,高さ15cm以内の車輪型のロボット6台でサッカーを行う競技です.フィールドの大きさは約6m×4m,ボールはゴルフボールを使います.フィールドの上部に取り付けられた外部カメラを使い,フィールド外部のコンピュータも使ってロボットを制御するのが特徴です.
現地では,6月25日から準備を始め,27~29日に予選と準決勝までが行われ,30日に決勝戦3位決定戦が行われました.今回のSmall Size Robot Leagueには,以下の12ヶ国20チームが出場しました.
- BRocks(トルコ)
- CMDragons(アメリカ)
- EMEnents(パキスタン)
- ER-Force(ドイツ)
- KIKS(日本)
- MCT Susanoo Logics(日本)
- MRL(イラン)
- NEUIslanders(北キプロス)
- ODENS(日本)
- Parsian(イラン)
- RFC Cambridge(アメリカ)
- RoboDragons(日本)
- RoboFEI(ブラジル)
- RoboIME(ブラジル)
- RoboJackets(アメリカ)
- Skuba(タイ)
- STOx’s(コロンビア)
- Thunderbots(カナダ)
- TIGERS Mannheim(ドイツ)
- ZJUNlict(中国)
予選では,参加チームが四つのグループに分かれて総当たりで試合が行われました.ODENSは,グループBに入りました.このグループには,NEUIslanders(北キプロス),RoboIME(ブラジル),TIGERS Mannheim(ドイツ),ZJUNlict(中国)がいます.各チームとの対戦結果は,以下の通りです.
- ODENS 7 – 1 RoboIME
- ODENS 8 – 0 NEUIslanders
- ODENS 2 – 0 TIGERS Mannheim
- ODENS 0 – 6 ZJUNLict
この結果,3勝1敗でグループ2位になりました.
続くLuck Looser Game(敗者復活戦)では,ベスト8をかけて,グループCの3位のThunderbots(カナダ)と対戦しました.
- ODENS 1 – 1(PK 2 – 1)Thunderbots
試合は互角,0 – 0で終わり,延長戦へ.延長戦後半でODENSが1点を入れるも終了直前に1点を返され,1 – 1の同点.PK戦で2 – 1でかろうじて勝ち,ベスト8入りを果たしました.
準々決勝ではMRL(イラン)と対戦しました.2011年の世界大会でも準々決勝で戦った因縁のチームです.
前半だけでコールド負けしてしまいました.Thunderbotsとの長時間の試合の後だったため,ロボットが相次いで故障して4台になってしまい(本来は6台),守備が甘くなっているところにどんどんシュートを決められてしまいました.
ODENSでは,2007年に製作したロボット本体を使い続けていますが,この圧倒的に不利なハードウェアでそれなりの成績を収めていることについて他チームから驚かれました.これは,ソフトウェアに注力して研究開発を進めてきた成果ですが,それもいよいよ限界だと感じました.このままでは,学生のモチベーションも下がってしまうので,何とかしないといけません.
なお,今回のSmall Size Robot Leagueでは,ZJUNlict(中国)が優勝しました.2009年から連覇してきたタイのSKUBAチームは,準々決勝でZJUNLictに敗れ,ベスト8止まりでした.また,日本から参加した他の3チームの成績は以下の通りです.
- RoboDragons(愛知県立大学) 4位
- KIKS(豊田工業高等専門学校) ベスト8
- MCT Susanoo Logics(松江工業高等専門学校) 予選落ち
Small Size Robot Leagueの試合の様子
RoboIME(ブラジル)チームとの記念撮影
NEUIslanders(北キプロス)チームとの記念撮影
オランダのマキシマ王妃がODENSの試合を観戦
TIGERS Mannheim(ドイツ)チームとの記念撮影
ZJUNlict(中国)チームとの記念撮影
Thunderbots(カナダ)との記念撮影
MRL(イラン)チームとの記念撮影
3D Simulation League
3D Simulation Leagueは,コンピュータの中の仮想空間においてヒト型ロボットがサッカーを行う競技です.その空間では,力学や幾何学のモデルに基づいて実際の世界を再現しており,転倒や衝突も起こります.そこでロボットを自律的に歩かせサッカーさせるために,全ての関節の動きを指示するプログラムを作らないといけません.プログラムは,ロボット1台ごとに独立していますので,このリーグの試合は,各チーム11個のプログラム同士の対決になります.
現地では,6月25日から準備を始め,27日に予選の組み合わせを決めるSeeding Round,28日と29日に予選Round,30日に決勝トーナメントが行われました.今回の3D Simulation Leagueには,以下の11ヶ国17チームが出場しました.
- Apollo3D(中国)
- Bahia3D(ブラジル)
- Bold Hearts(イギリス)
- FC Portugal 3D(ポルトガル)
- FUT-K_3D(日本)
- HfutEngine3D(中国)
- ITAndroids(ブラジル)
- Karachi Koalas(パキスタン)
- L3M-SIM(フランス)
- magmaOffenburg(ドイツ)
- Mithras3D(イラン)
- ODENS(日本)
- Paydar3D(イラン)
- Photon(ロシア)
- RoboCanes(アメリカ)
- SEU-Jolly(中国)
- UT Austin Villa(アメリカ)
予選は,グループに分かれて総当たりで試合を行い,成績の低いチームを抜いて,新たにグループを組みなおすことを繰り返し,最後に残った4チームで決勝トーナメント(準決勝,決勝,3位決定)を行いました.ODENSの戦績は以下の通りです.
- Seeding Round (Group C0 )
- ODENS 3 – 0 Bold Hearts
- ODENS 0 – 3 FC Portugal 3D
- ODENS 0 – 3 magmaOffenburg
- First Round (Group A1)
- ODENS 0 – 2 RoboCanes
- ODENS 0 – 1 ITAndroids
- ODENS 0 – 6 UT Austin Villa
- ODENS 3 – 0 Bahia3D
- Second Round (Group B2)
- ODENS 0 – 4 Apollo3D
- ODENS 0 – 5 FC Portugal 3D
- ODENS 0 – 4 Bold Hearts
結果は2勝8敗で,第3ラウンドには進出できませんでした.昨年の世界大会では8強入りすることができましたが,他チームの進歩が速いことを痛感しました.ODENSチームはもっと頑張らないといけません.
なお,今回の3D Simulation Leagueでは,Apollo3D(中国)が優勝しました.2010年,2012年の覇者UT Austin Villa(アメリカ)は決勝で敗れ準優勝でした.また,日本から他に参加したFUT-K_3D(福井工業大学)もODENSと同じく第2ラウンド止まりでした.
3D Simulation Leagueのメンバ
3D Simulation Leagueの試合の様子
3D Simulation League参加者
RoboCup Symposium 2013
7月1日には,アイントホーフェン工科大学においてRoboCup Symposium 2013が行われ,ODENSのメンバも参加しました.シングルセッションで口頭発表とポスター発表が行われ,いくつか有用な情報を得ることができました.
アイントホーフェン工科大学
RoboCup Symposium会場
おわりに
世界大会に参加することによって,自分たちの研究成果を実証することができました.また,各国からの参加者と情報交換や交流ができました.参加した学生達には大変いい経験になりました.これを糧にしてさらに研究に励み,来年の結果につなげるようにします.来年の世界大会はブラジルで開催される予定です.条件が整えば,再挑戦できると嬉しいです.
遠征参加メンバ
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