ロボットサッカー競技 RoboCup Japan Open 2010 大阪 参戦記

大阪電気通信大学 総合情報学部
メディアコンピュータシステム学科
升谷 保博

目次

RoboCup参加の経緯

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RoboCupとは、ロボット工学と人工知能の融合、発展のために自律型ロボットによるサッカーを題材とする国際プロジェクトで、その競技会は1997年から始まりました。私は、大学院生のときからロボットの研究を行ってきましたが、RoboCupの考え方に共感し、1998年ごろからRoboCupを題材とした研究を始め、2000年に初めて国内大会に出場しました。その後、2005年に大阪電気通信大学に赴任し、その年に大阪で開かれた世界大会には、大阪大学と大阪電気通信大学の合同チームで出場しました。

RoboCup2005参戦記

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その後、大阪電気通信大学単独でRoboCupに参加するべく準備を進め、2006年度に升谷研究室に配属になったメディアコンピュータシステム学科の1期生(2005年入学)が、プレゼミのテーマとしてRoboCupに取り組みました。そして、2007年5月に大阪で行われた「RoboCup JapanOpen 2007大阪」に、新たなチーム名「ODENS(オデンズ)」として、小型ロボットリーグとシミュレーションリーグに出場しました。その成績は、小型ロボットリーグでは4位、シミュレーションリーグでは6位でした。

RoboCup Japan Open 2007 Osaka参戦記

2007年度以降も、升谷研究室では毎年プレゼミのテーマとしてRoboCupに取り組んでいます。2008年5月には静岡県で開催されたRoboCup Japan Open 2008 沼津に参加し、小型ロボットリーグで2位になりました。2009年5月には、大阪で開催されたRoboCup Japan Open 2009に参加し、シミュレーション3Dリーグ、そして、この年から始まったSSL Humanoidにも参加しました。結果は、小型ロボットリーグで3位、SSL Humanoidで2位、シミュレーション3Dリーグで4位でした。さらに、2009年6月には、ODENSとして始めて世界大会に参加しました。私と学生6名がオーストリアで開催されたRoboCup 2009 Grazに参加し、小型ロボットリーグで世界4位になりました!

RoboCup Japan Open 2008沼津 参戦記

RoboCup Japan Open 2009大阪 参戦記

ODENSの4年目も、2009年度の後期から升谷研究室に配属されたプレゼミ生の全員と卒研生(3年生)と特研生(4年生)と大学院生の一部が、RoboCupに取り組みました。

各グループ詳細

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2010年のRoboCupの日本国内の大会である「RoboCup Japan Open 2010 Osaka」は、5月2~4日に大阪工業大学大宮キャンパスで開催されました。年度が替わり、大学院生5人、卒業研究を終えた4人、卒業研究生となった7人と、そして、私が大会に参加しました。

今回も2009年と同様に、小型ロボットリーグにおいて、従来の車輪型ロボットの競技に取り組むグループと、2009年から始まったヒト型ロボットの競技に取り組むグループ、そし て、シミュレーションリーグにおいて3D部門に取り組むグループの三つに分かれています。それぞれのグループの詳細は、学生たちがまとめた以下のページをご覧ください。

参加を終えて

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学生達は、未熟ながらも、作業を分担して期限の中で遂行するという経験をしました。そして、その結果が試合という形であからさまに評価されるという経験もしました。

今回は、まずまずの成績でしたが、どのグループも「優勝」はできませんでした。与えられた条件で一生懸命やるというだけでなく、日本一になるには、何をしなければいけないか何が足りないかということに対して真剣に向かい合わなくてはいけない段階に来ています。

前回の反省として、せっかくのチームの層の厚さを活かしきれなかったということがありましたが、今回はそれが少し改善されたように思います。また、プレゼミ生が積極的に取り組んでいたことも評価できると思います。しかし、それでも技術や知識の伝承がまだまだ不十分です。これはとても重要な課題です。

色々と課題はあるのですが、参加した学生たちは、大きな自信や達成感を得たのではないかと思います。新しい卒業研究生は、Japan Openが済んで、昨年度からプレゼミで取り組んできた活動を一旦終えることになります。この学科では、「卒業研究」が3年生で実施されますが、何人かが 卒業研究のテーマとして引き続きRoboCupを選びました。彼らが、今回の経験を基に、後輩達と次回の大会でさらなる成果を出してくれることを期待して います。一方、RoboCup以外のテーマを選んだ人も、この経験を今後の糧にしてほしいと願っています。

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なお、5月3日に大会と併催された「第31回人工知能学会AI チャレンジ研究会」において、大学院修士2年の木村尭海君が、「複数の外部カメラ画像に基づくヒト型ロボットの3次元形状の実時間取得~RoboCupSoccer SSL Humanoid の3次元情報サーバを目指して」というタイトルで発表しました。この内容が評価され、競技結果とは別に、SSL HumanoidのODENSチームが「人工知能学会賞」を受賞しました。

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